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執筆者の写真Jin Katsuo

古い電話帳

更新日:2022年9月3日

この夏、古くからの親友が亡くなって、しばらく呆然と時をやり過ごし、ようやく重い腰を上げて、当時の親友の恋人だった女性に連絡を取るべく連絡先を探した。ヤツは彼女といる時が一番活き活きしてたから、どうしても伝えてやりたかった。



この夏以来、探し続けてやっと見つけた古い電話帳。祈る思いでページを捲ると彼女の電話番号が目に留まった。早速、連絡を入れたところ不在で留守電、昼過ぎに折り返しの電話で懐かしい声が耳元に響いた。少し怪訝な声音でのやり取りに始まり、打ち解けたところで元彼が病気で永眠したことを伝えた。


十数年も昔のことなので、今の家庭の事などに配慮して「それが?」と言われる事も覚悟してたんだけど、結果は真逆。それを告げた直後に激しく嗚咽する声が漏れてきた。


別れの理由を知らなかったので、改めて話を聞くと、嫌いになって別れたのではなく、繊細だった彼のことを思ってしばらく身を引いた状態のまま、現在に至るまで10数年近く独身を貫いていたという事だった。幼少期に父を亡くした奴は、いつも幸せは永く続かないんだと、世を儚んでた。


私は絶句した。しばらく彼女は「私が連絡をすれば良かったんだ。。」と繰り返していた。亡くなった当時の様子を聞かれ、ご家族から聞いた話をありのまま伝えた。静かにしゃくり上げる声が伝わってきた。今年は、悲しい出来事が続いたので、もう泣かないって思ってたけど彼女と彼の長年の思いを知り、目から滴がこぼれ落ちた。




他方、私の取引先では愛の貴公子気取りで有頂天になって女性従業員の腰やアンダーバストをモミモミして、被害女性から怒られても「あ、いやホコリがついてたからさ〜」とうそぶいてるクズもいる。この世は玉石混交、不条理のカオスだ。


さて、もう少しで2020年も終わり。来年は良い年でありますよう。。。




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